茶器(急須・湯吞み)の選び方

高級なお茶を飲むときは、お茶の繊細な香りや味わいを楽しむために茶器(急須・湯呑み)にも少しこだわって選んでいただくことをお薦めいたします。


湯呑みの選び方

湯呑みの素材には、磁器、陶器、ガラスなどがあります。その中でも、素材の特長から高級茶には磁器の湯呑みをお薦めいたします。

磁器の湯呑みは、薄手のため軽く、なめらかな肌触りです。そして内側の色は、白や白に近い淡いものが多く、上品で優雅な印象を与えます。
薄い湯のみは温度が伝わりやすく、湯冷ましをして淹れる高級茶の温かさがほんのり伝わります。磁器の白い内側は透明感があるので玉露、上級煎茶の繊細な色合いを堪能するのに向いています。

大きさ

容量の少ない湯呑みをおすすめします。

お猪口のような小さな湯のみ、豆茶碗と呼ばれる湯のみは、玉露や上級煎茶などに向いています。

これらの高級茶は、口の中でじっくり味わい、凝縮された濃厚な旨味を楽しむことができるように、淹れる量は多くありません。
また、容量が多い湯呑みは、その深さのためお茶の色が濃 く見えやすくなり、薄めに淹れてしまうことがあります。

湯のみの色

内側が白か、白に近いやさしい色合いのものは、お茶の水色がきれいに見えます。また、同じ白っぽい色も微妙に色合いが異なります。同じお茶でも、湯のみによってその見え方が変わるのも楽しみの方のひとつです。


急須の選び方

急須の素材にも、陶器、磁器、鉄器、ガラス等など色々な素材がありますが、急須は胴・蓋・持ち手・茶こし・注ぎ口を組み合わせる複雑なつくりになっており、それぞれの形や全体のバランスがお茶の味や使い心地にも影響するため高い成形技術を必要といわれています。

各パーツの形や全体のバランス・重さ・ぴったり収まる蓋が湯こぼれを防ぐほか、手への収まりなども感じることで、淹れるお茶も美味しくなると思います。

陶器

陶器の中で機能面が高く評価されている愛知の常滑焼と三重の萬古焼。常滑焼の原料である朱泥や萬古焼の原料である紫泥は鉄分を多く含みます。

そのため釉薬(ゆうやく)をかけないものは、お茶のポリフェノールが急須の鉄分と反応することでお茶の苦渋み成分が減少し、お茶の味がまろやかになるといわれています。さらに、使うほどに深みのある色に変化し、光沢が増していきます。

磁器

石から作られる磁器は表面がガラス質のため香りや成分を吸着しにくく、お茶本来の香りや味をそのまま伝えます。香りを楽しむ紅茶やハーブティーを淹れるのに適しています。

お茶の色が映える上品な透明感や、多彩な色、柄を楽しめます。

鉄器

落ち着いた輝き、精巧な細工、重厚な佇まいが魅力的な「鉄急須」は、内部がホーロー加工されているため錆びることがなく、洗剤で洗うことができます。
蓄熱性が高いため、急須内で保温ができます。
「鉄急須」はホーロー加工が剥がれるため、「鉄瓶」とは異なり、直接火にかけることはできません。

蓋の収まり

蓋のがたつきがなく、本体と蓋の密着性が高い急須は注ぐときに蓋のすき間からお茶がこぼれることもなく、気持ちよくお茶を楽しむことができます。

洗いやすさ

口径が広く、棚(蓋を置く場所)の出っ張りが少ない急須は茶葉を入れやすく、洗うときも棚に茶葉が引っかかることなくさっと水で茶葉を流せます。

注ぎ口

口の高さが胴の高さよりも低いと、低い胴の方からお湯がこぼれてしまうため、口が胴と同じ高さか高いものがおすすめです。注ぎ口の直径は1㎝ほどが標準で、細いほど静かにお茶が出て雑味が出にくいため、玉露や上級煎茶向きです。注ぐときもこぼれにくくなります。反対に、太いほど勢いよく湯が出るため、手早く出したいときや番茶には注ぎ口が太いものが向いています。

持ちやすさ

実際に手に取ってみて、重さやフィット感、注ぎやすさ(傾けやすいかなど)を確認することをおすすめします。

ロクロで挽いた急須は薄く作られているため軽く、反対に鉄器は重みがあります。


茶こし

陶器網

網の劣化が少なく半永久的に使えます。深蒸し茶のような細かい茶葉を淹れる場合は「ささめ」や「セラメッシュ」という穴が小さめに作られたものは、茶葉が詰まりにくくおすすめです。

帯網、さわやか網など

網が細かく、細かい茶葉にも適しています。カップ網に比べ茶葉が十分に開くスペースがあるため、旨みやコクも出やすくなります。定期的に業者かご自身での網の張替えが必要です。

カップ網

網が固定されていないので掃除がしやすく清潔に保ちやすいことが利点です。茶葉が開くスペースが少ないとお茶のおいしさを十分に抽出できないので、大きく深い網がおすすめです。

サイズ

茶葉、飲む人数、湯呑の容量でサイズを選んでください。

上級茶を丁寧に味わいたいときには小さめの急須を選んで、こまめに茶葉を交換することをお勧めいたします。 


茶葉の種類別、淹れ方をご参考までに表にしました。

茶葉 茶葉の量 湯の量 湯の温度 抽出時間
玉露 3g 20㎖ 60℃ 120秒
深蒸し茶 4g 130㎖ 80℃ 30秒
普通深蒸し茶 4g 130㎖ 70℃ 60秒
ほうじ茶/玄米茶/番茶 5g 130㎖ 100℃ 30秒
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